「早春」令和六年一月号(通号1142号)より抜粋

新 春 雑 感 

 早春社 主宰 南 杏子 

  新年おめでとうございます。

  会員の皆様におかれては良き新年を迎えられたことと思います。

新型コロナウイルス感染症も、5類移行となり、日々の生活も落ち着きが戻ってきています。ワクチンも七回目の接種を受けていますがまだまだ侮ってはなりません。

  さて、我が早春社は、来年令和七年一月に百周年を迎える伝統ある俳句結社であります。これも偏に永尾宋斤先生の早春三是 『自然鑽仰、人生味到、郷土敬愛』を、会員が賛同し『俳句の外に遊ばず』を守った証です。

  また、早春社には、直原玉青先生という偉大な先生がおられ、その先生が再興されたのが淡路島の国清寺です。昨年九月会員二十名で国清寺に参拝いたしました。早春社資料には、「国清寺の境内には、永尾宋斤、神田南畝、藤本阿南、永尾大露 各師をはじめ早春の四十八名の句碑が建立されており、早春誌友の心のふるさととなって、後世に永く残されることを、早春誌友は忘れてはならないと思っている」との岡野洞之先生の言葉が残されています。今後も立派な大勢の先生方を誇りとし、感謝の心、恩を受けた心を大切にし、早春会員として、恥じない作品を詠み続けたいと思っています。

 国清寺境内の句碑には三師の句が一石に彫ってあります。

      山深く神の昔の初日の出                    宋斤

      ぼうたんの奕々蝶をつつみたる           南畝

      一亭に紙燭ともして月を待つ              阿南

  これらの句碑は、直原玉青先生が、故人の三代の句はどうしても国清寺境内に記念として残しておきたいとの思いから建立されたもので、それには「初代宋斤、二代南畝、三代阿南であり、早春こそ私の画業六十年の歩みを共にした深い因縁の人達である」と述べられています。

  早春百周年を記念して、早春作家の記念プレートの建立のお許しをいただききました。国清寺住職様に早春一同心より感謝申し上げます。

  歴代の主宰が提唱し、今に引き継がれている理念を今一度考えてみたいと思います。

 初代主宰 永尾宋斤

     「自然鑽仰、人生味到、郷土敬愛」

 俳句は、大自然を鑽仰し、人生を味到する詩として特に季感を尊重する。

 二代主宰 神田南畝

     「真実な生活感情を誠実に詠う」

 作家自らが誠実でなければならない。

 三代主宰 藤本阿南

 誰にも分かる易しい俳句。強い表現は避ける。


  三師の俳句の心得を持ち、品格のある格調高い作品を詠み続けたいと思います。
  百周年に向けて、さらに精進して参りたいと思っています。
  今年もよろしくお願いします。 


令和六年一月元旦

 以上